長崎県弁護士会所属

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ニュースレター 2013年6月20日号

2013.07.05
1 今回から事業承継の話しです。
事業承継には3つの方法があります。①親族内承継②親族外承継③M&Aです。今回は,それぞれについてのメリット,デメリットを紹介しておくことにします。
 
2 ① 親族内承継
自分の子供に会社を継がせるというのが典型的なパターンとして考えられます。経営者の心情に合致するし,周囲からの理解も得られます。時間をかけて準備することが可能です。
 
他方,デメリットとしては,後継者候補に能力や意欲があるかどうかという問題があります。相続人がたくさんいる場合は後継者への経営権の集中を考えなければなりません。遺言書で対応する場合にも,遺留分という最低取り分の請求は可能ですから,この遺留分対策というのが最終的に問題となります。
 
3 ② 親族外承継
これまで会社と親しい関係にある人に承継させる方法で,能力や意欲もあり経営者として適任であるということがわかっているので,事業承継としては安心であると思われます。
 
他方,オーナー社長に息子がいる場合,その息子を差し置いて,親族でない番頭格の専務に事業を承継させると軋轢を生むことがあります。会社の負債,経営者の個人保証をどうするかという問題もあります。経営権を集中させるため,相続人への配慮が必要なことは,①の親族内承継と同様です。
 
4 ③ M&A
きちんと事業を売却できれば適切な対価を得ることができます。事業を継続する能力ある人物を広く外部に求める方法ですので,事業そのものを円滑に承継させることができ,従業員の雇用,取引先の維持も可能となります。
 
結局は,事業を売却するので,条件交渉がもっとも問題になります。こちらの要望を満たす買い手がいるか,どうやって探すかというのが実務上はもっとも問題です。会社の負債,経営者の個人保証をどうするかという問題もあります。いざ売却となれば,少数のトップの周辺で隠密裏に行う必要があります。社内に動揺が走るためです。
 
また,この方法を視野においた場合,会社を高く売却するための努力,企業価値を高めるための努力が必要となってきます。個人商店時代の公私混同,簿外債務などの悪弊は除去した上で,情報公開をしていく必要があります。
 
5 次回は,以上の類型を踏まえ,事業承継を考えるにあたっての視点について,述べたいと思います。
この記事を担当した弁護士
弁護士法人ユスティティア 代表弁護士 森本 精一
保有資格弁護士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
専門分野企業法務、債務整理、離婚、交通事故、相続
経歴
昭和60年3月
中央大学法学部法律学科卒業
(渥美東洋ゼミ・中央大学真法会
昭和63年10月
司法試験合格
平成元年4月 最高裁判所司法修習生採用(43期司法修習生)
平成3年4月
弁護士登録(東京弁護士会登録)
平成6年11月
長崎県弁護士会へ登録換
開業 森本精一法律事務所開設
平成13年10月 CFP(ファイナンシャルプランナー上級)資格取得
平成14年4月
1級ファイナンシャル・プランニング技能士取得
平成25年1月
弁護士法人ユスティティア設立
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