遺言(法律上は「イゴン」と読みます)は、満15歳に達した人であれば、意思能力がある限り、誰でも作成することが可能です(民法906条)。遺言は民法上定められた一定の要件を満たさなければ「無効」となります。遺言書の種類は一般的なもので3種類あり、3種類それぞれにおいて成立させるための要件が異なっています。
1.自筆証書遺言
自筆証書遺言(民法968条)は、遺言を書く本人が内容、作成日付、書名の全てについて自書する必要があります(パソコン・代書は不可です)。作成日付のない自筆証書遺言は無効になりますので、必ず作成日付を記入することが必要です。
自筆証書遺言のメリットとして、自分で作成するものですから、費用はかかりませんし、いつでも書き直すことができます。
反面、デメリットとして、素人が作成するものですから、法律的に不備があったり、無効になったりする場合があります。また、遺言書について、紛失・隠匿・破棄・偽造等の可能性があります。さらに、本人の死亡後、相続人全員に立ち会う機会を与えて、家庭裁判所で遺言を開封する「検認」という手続きをとる必要があります。
自筆証書遺言を作成される場合にも、法律上の要件を具備する必要がありますから、専門家である弁護士に相談され、案文を作ってもらって、そのとおりに自筆で記載・作成された方がよいと思います。また、ご依頼により作成された自筆証書遺言を保管しておく業務も行っております。
自筆証書遺言のご相談も弁護士法人ユスティティア森本綜合法律事務所へご相談下さい。
2.公正証書遺言
公正証書遺言(民法969条)は、証人2名の立会いの下に、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口頭で伝え(法律は、口授-「クジュ」という言葉を使っています)、公証人が遺言者の口述内容を筆記する方法です。公正証書遺言の場合、公証人が作成を行ないますので、作成後に遺言者と証人に作成内容を確認させます。確認完了後、遺言者と証人が署名・押印をし、最後に公証人が署名・押印を行ないます。
公正証書遺言は基本的に公証役場で作成することが原則ですが、寝たきりで入院中であるなど、公証役場まで出向くことが困難な場合には、出張料を負担すれば、公証人が病院や自宅まで訪問してくれる場合もあります。
公正証書遺言のメリットは、遺言した本人が死亡したとき、他の相続人の同意を要しないで、その公正証書で登記・銀行預金の解約・払戻し等の手続ができること(但し、銀行によっては応じないところもあるようです)、自筆証書遺言のように「検認」手続をとる必要がないこと、遺言の原本は、公証役場で保管しますので、紛失・隠匿・破棄・偽造などの心配がないことです。
他方、デメリットとしては、公証人に対する手数料の支払いが必要なこと、自分で戸籍謄本・登記簿謄本等の書類を集めなければならないので少々面倒であること、遺言書の存在を秘匿しにくいことです。
公正証書遺言を作成される場合でも、必要書類の取り寄せやどういった遺言を作成するかといった内容面を含めてのご相談は、弁護士法人ユスティティア森本綜合法律事務所へどうぞ。当事務所の弁護士と事務職員が証人になりますので、証人候補者がいない方でも公正証書遺言を作成することができます。
諫早公証役場は同じ商工会館4階に所在しており、大変便利になっています。
3.秘密証書遺言
秘密証書遺言(民法970条)は、遺言の内容を遺言者自らが記載するため、遺言者以外に知られることがなく作成できる方法です。作成した証書は封筒に入れ、遺言書に押印したものと同じ印章で封印します。但し、自筆証書遺言と異なり、ワープロやパソコンを用いても、第三者が筆記した書面でもかまいませんが、自筆の署名押印が必要です。
証書の封印が完了後、公証役場で自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述し、公証人がその封紙上に日付及び遺言者の申述を記載した後、遺言者及び証人2人と共にその封紙に署名押印することにより作成されます。
遺言書を作成・存在することを秘匿でき、紛失・隠匿・破棄・偽造等の可能性をなくす点で自筆証書遺言よりも優れていますが、その反面手続が複雑な点で一般的にはあまり利用されていないと思われます。また、公証人は遺言の内容を確認することができないので、遺言の内容に法律的異な不備がある場合もありますし、家庭裁判所での検認手続が必要な点で自筆証書遺言と異なるところがありません。
以上のように、遺言の書き方は複数ありますが、どのような手続で遺言書を作成したらよいか、あるいはどのような遺言を作成すべきかを含めて、弁護士法人ユスティティア森本綜合法律事務所へご相談下さい。