「離婚後の生活を考えると、子供の養育費が不安。」
「養育費っていくらぐらいが適切なの?」
養育費に関するご相談も多くよせられます。
養育費とは、子供(未成熟子)が独立の社会人として自立するまでに必要となる費用です。
衣食住の経費や教育費、医療費、適度の娯楽費など、自立するまでに必要となるすべての費用を養育費と呼んでいます。民法766条1項の「子の監護に必要な事項」として、家庭裁判所が定めることができるとされています。
期間の目安としては、成人年齢の20歳までとすることが原則と考えられていますが、高校卒業までの18歳までとされる場合や大学卒業までの22歳までとされる場合などがあります。
詳しくは、「養育費の終期について」をご覧下さい。
養育費の算定
養育費の額は、負担する側の経済力や生活水準によって変わってきます。
基本的には、必要経費を積み上げて合計するのではなく、双方の収入のバランスに応じて算定していきます。
財産分与や慰謝料は一括で支払うのが原則ですが、養育費は通常定期的に支払っていくことになります。
裁判所が算定表を作成しており(判例タイムズ111号285頁)、調停や裁判になった場合、算定表の基準に基づけて算出されることが大半です。
養育費算定表のアドレス
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf
これに対し,日弁連は,平成24年3月15日,「養育費・婚姻費用の簡易算定方式・簡易算定表」に対する意見書において,原稿の養育費・婚姻費用の算定方式に対する問題点を指摘しています。
その上で,新しい算定方式を提言しています。今後はこちらが主流となっていくと思います。
① 給与所得者の場合
源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が「年収」になります。
② 自営業者の場合
確定申告書の「課税される所得金額」が「年収」になります。「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果であり、実際に支出されていない費用(例えば、基礎控除、青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を「課税される所得金額」に加算して「年収」を定めます。
③ 無収入の場合
稼働能力・稼働できる環境にあるのに稼働していない場合には、賃金センサスにより平均収入から推計した額をもって給与所得者の収入とします。実際には、パート就労者としての総収入を基準に推計する場合が多いです。
しかし、算定表はあくまでも、基準のひとつです。
私立学校に通っている場合、入学金が必要な場合など、状況に応じて養育費は変化します。
算定表は、公立学校の費用を基準に作成されているため、私立学校に行かせることについて義務者も承諾している場合、あるいは収入、資産、状況等からそれが相当と判断される場合には、特別事情として加算を認めてよいと考えられます。
義務者が公立高校に入学させる意向を有していたにもかかわらず、同人に無断で私立高校に入学させたというケースで、私立学校の学費は考慮されなかったものとして、神戸家審平成元年11月14日家月42巻3号94頁があります。
扶養義務者は子供(未成熟子)の両親です。
義務の程度は、生活保持義務すなわち、自分の生活を維持するのと同程度の生活を被扶養者にも保持させる義務であるとされています。「一椀の粥もわけて食う」関係ともいわれています。
適正な養育費を受け取るためにも弁護士にご相談することをお勧めします。
また、一旦定めた養育費の増額や減額が認められることもあります。
一旦定めた養育費の増額や減額が認められるためには、養育費を決めた当時予測し得なかった事情の変更があったことが必要です。事情の変更にあたる場合としては、未成熟子が進学した場合、権利者又は義務者の収入が増えた、あるいは減った場合、義務者が再婚をした場合等があげられます。
養育費の変更についてのご相談も、弁護士法人ユスティティア森本綜合事務所へご相談下さい。