法人後見専門員養成研修 「民法の基礎」

平成24年8月21日 
弁護士 山 下 雄 一

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第1 民法の構成・幅広さ(5分)

民法の目次(別紙の通り)
→ 非常に広範囲。
専門家へのアクセスのきっかけを掴んでもらう。
 

第2 本講義の目標設定(5分)

1 財産法の講義の目標
権利や義務の発生・障害・消滅のごく大まかな仕組みを知る。

 

2 家族法の講義の目標
親族法の講義
夫婦や親子,後見・保佐・補助の規律を知る。
相続法の講義
相続法の基本的事項を知る。
 

第3 財産法関連(40分)

1 第1編「総則」(15分)
第1章「通則」
(省略)

 

第2章「人」
ア 権利能力
・権利・義務の主体となる能力
 ;原則として「人」と「法人」のみ。
・「権利能力」と「行為能力」の違い

 

イ 制限行為能力者の行為能力について規定(4条から21条)
※制限行為能力者に関しては,4条から21条以外にも,838条から876条の10までにも規定されている。
前者;行為能力の制限についての規定
後者;後見・保佐・補助の手続等について規定  

 

未成年者
 ・満20歳未満が未成年者
 ・原則として,法定代理人の同意がなければ法律行為ができない。
 ・例外
  ;権利を得,義務をまぬかれるだけの行為
  ;目的を定めて処分を許した財産
  ;目的を定めずに処分を許した財産
  ;営業許可
  ;婚姻成年擬制

 

後見
・被後見人がした法律行為は,原則として取り消すことが可能。
・日常生活に必要な行為は取り消せない。
・成年後見人は代理権,追認権,取消権はあるが,同意権はない。
→ 成年後見人が同意した行為も取り消せる。

 

保佐
・保佐人には一定の行為についての同意権はあるが,代理権は当然にはない。
→ 被保佐人の同意があれば,特定の法律行為について,代理権を付与してもらえる。
・保佐人が同意しないときの定め(13条3項)

 

補助
・申立てに本人の同意が必要
・補助人には当然には同意権・代理権はないので,補助申立てと同時に特定の行為についての同意権,代理権付与の申立てをする

 

相手方の保護
・制限がなくなった後に本人対し催告
→ 追認擬制
・制限がなくならない間に後見人等に催告
→ 追認擬制
※いずれも後見監督人等が付されている場合には,取消擬制となる。

 

詐術
行為能力があると信じさせるための詐術を用いた場合,取消できなくなる。
→ 単に制限行為能力者であることを黙秘していただけの場合は,これにあたらない。
イ 失踪宣告制度
一定期間(普通失踪7年,特別失踪1年)生死不明の場合に,死亡したものとみなす制度
→ 死亡したことになるので,相続が開始する。
ウ 同時死亡の推定
ex;同一の航空機事故で父子が死亡したが,どちらが先に死亡したか不明の場合
→ 相続の問題があるので,同時に死亡したものと推定することとした。

 

第3章「法人」

省略

 

第4章「物」

省略

 

第5章「法律行為」

ア 第一節「総則」
法律行為とは
一言で言って,何をすれば法的効果が発生することになるのか  → 法律行為(単独行為,契約,合同行為)

 

どんな法律行為でも有効なのか?
公序良俗に反するものは無効(90条)
ex;妾契約
   ヤミ金の異常な高利貸し等。

 

イ 第二節「意思表示」
意思表示とは
法律効果の発生を欲する意思を外部に表明する行為
ex;契約の申込み
…「買いたい」という意思を外部に表明している

 

錯誤(95条)
・単なる「勘違い」ではない
→ 「要素の錯誤」,「重大な過失がないこと」
・動機の錯誤

 

詐欺・強迫(96条)
・要件(欺罔行為,錯誤による意思表示,因果関係,詐欺の故意)

 

隔地者の意思表示(97条)
・原則として,相手に到着しないと意思表示をしたことにならない。
・表意者が発信後に死亡(又は行為能力を喪失)しても,意思表示は有効。

 

意思表示の受領能力(98条の2)
・未成年者と成年被後見人に対して意思表示しても,意思表示をしたことを主張できない。
→ 被保佐人と被補助人は意思表示を受領できる。

 

ウ 第三節「代理」
要件
①本人のためにすること(「顕名」。本人名義)
→ 顕名をしないと自分名義のものとなる。
②代理人が法律行為をすること
③代理権の範囲内であること
→ 代理権限外のことをしても,無権代理として本人に法的効果は発生しない。
 
・①~③満たしていれば,本人が権利を取得(義務を負担)する。
利益相反等
・原則として,当事者双方の代理人には原則としてなれない。
ex;成年被後見人が,本人の契約の相手方の代理人にはなれない。
→ 代理して契約しても無効。
→ 後見監督人の選任(851条4項)
  or
特別代理人の選任(860条,876条の2Ⅲ)
権限を越えた場合の表見代理(110条)
保佐人,補助人の代理権限は,特定の法律行為に限定される
 → その権限を越えた行為をした場合は?
 → その行為の相手が,代理権があるのだと誤信し,そう誤信したことに正当な理由(過失がないこと)がある場合は,有効な代理行為になってしまう。

 

代理権の消滅
・本人の死亡
・代理人の死亡
・代理人が破産
・代理人が後見開始審判を受けた
・辞任等

 

無権代理
・代理権のない者がした契約は本人に効力は及ばない。
 → 本人が追認すれば有効。

 

第四節「無効及び取消し」
(Q)無効な法律行為や,取消すことができる法律行為は,その後どうなるのか。
 
無効な行為
・追認しても,無効なものは無効なまま。
・無効であることを知って追認すれば,新たな行為をしたことになる

 

行為能力の制限によって取り消すことができる行為の取消し
取消権者
→ ・制限行為能力者本人
・その代理人
・同意権のある者

 

取消した場合,受領した金品の回復
→ ・制限行為能力者の場合,現存利益の範囲内で返還

 

「現存利益」とは
→ 浪費の場合は現存利益なし
   生活費に充てた場合は現存利益あり

 

取消しの時間制限
→ 取消すのであれば,追認ができる時期から5年以内に取り消さないと,取り消せなくなる。
→ 法定代理人につき取消権が消滅すれば,制限行為能力者自身の取消権も消滅する。

 

追認
・取消せる行為を有効にすることは,「追認」により可能。
・追認権者=取消権者
・制限行為能力者本人
・その代理人
・同意権のある者
・制限行為能力者本人が追認する場合は,行為能力者となった後でなければ追認できない
(自由に判断ができる状況にならないと取消せない)。

 

法定追認
追認ができるようになった後に以下の行為をすると,追認したとみなされてしまう。
・全部又は一部の履行
・履行の請求
・更改
・担保の供与
・取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
・強制執行

 

オ 第五節「条件及び期限」

省略

 

期間の計算
・民法は期間計算の通則法
→ 他の法令に特段の定めがあれば,それに従う。
ex;刑期は,裁判が確定した日から起算する(刑法23条)
・時間で定めた → 即時計算
・日,週,月又は年で定めた → 初日不算入の原則
(0時から始まる場合は別)

 

時効
ア 趣旨
・法的安定性保護
・「権利の上に眠る者は保護しない」
・証明困難の救済

 

イ 取得時効と消滅時効

 

取得時効
20年のもの
→ 他人の物を他人の物と知って,所有の意思をもって,平穏,公然に占有
10年のもの
→ 他人の物を他人の物と知らず,かつそのことに過失がない場合,10年間の占有で足りる。

 

消滅時効
・権利を行使できるときから,
→ 債権は10年間,債権・所有権以外の財産権は20年間行使しないと消滅時効にかかる。
・ただし,特別の規定が多い(168条から174条の2,労基法115条など)

 

中断
以下の行為をすると,時効は中断し,中断したときから再び時効期間のカウントをする。
・請求(裁判所を絡めて公的に請求すること)
・差押,仮差押え又は仮処分
・承認
・催告は,6か月以内に法的手続を取ることが必要。
 
※承認
→ 成年被後見人は,単独で債務の承認ができない(後見人が取り消せる。)。
   被保佐人・被補助人は,単独で債務承認ができる。

 

時効完成前6か月以内に成年被後見人に法定代理人がいない場合
→ 法定代理人がついてから6か月が経過する前までは,時効は完成しない。
 
2 物権(175条~398条の22)(10分)
物権(物ないし物の提供する価値を直接的に支配する権利)について定めている。
本講義では,権利の紹介のみ行う。
以下からは「担保物権」と呼ばれる。

 

占有権
物を自己のためにする意思で事実上支配することにより取得する権利。
一応占有している者を保護し,強奪を防止するところに趣旨がある。
(実際に権利があるかどうかは問わない。)

 

所有権
法令の制限内で,使用収益処分を行いうる権利

 

地上権
他人の土地において工作物又は竹木を所有するため,その土地を使用する権利(賃借権と類似)
→ 建物所有目的の地上権は,借地借家法で保護される。

 

永小作権
小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利

 

地役権
設定行為で定めた目的に従い,他人の土地を自己の土地の便益に供する権利
ex;通行地役権

 

留置権
他人の物を占有している者が,その物に関して生じた債権を有する場合に,その弁済を受けるまでその物を留置する権利
ex;AがBに,A所有の自動車の修理を依頼し,Bが修理したが,Aが修理代金を払わないとき,Bは自動車の留置権を主張して,修理代金が払われるまで引渡しを拒むことができる。

 

先取特権
特殊の債権を有する者が,債務者の財産の中から優先的に債務の弁済を受ける権利
ex;共益費用(破産をした場合の破産管財人の費用等)

 

質権
債権者がその債権の担保として債務者(又は第三者)から提供を受けた物を占有し,かつ,その物につき他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受けることのできる権利
ex;AがBに,自己所有の指輪を差し入れ,100万円を借りた。Aがお金を返せなかったので,Bは競売を申し立てて貸金を回収した。

 

抵当権
債権者が,債権の担保として債務者又は第三者から占有を移転しないで提供を受けた不動産(等)につき,他の債権者に先だって事故の債権の弁済を受けることができる権利
ex;AがBに,自己所有の土地を抵当に入れる旨Bと合意し,BがAに1000万円を貸した。AがBに1000万円を返済できなかったので,Bは競売を申し立てて貸金を回収した。

 

根抵当権
普通の抵当権は,一回の貸付ごとに設定するもの。
何度も貸付と借入をする場合には,一定の範囲の不特定の債権について,極度額の限度で担保するのが根抵当権
ex;Aさん建材店では,取引先Bに頻繁に製材を掛け売りで売っているが,この掛け売り代金に担保を入れてほしい。一回の掛け売りごとに抵当権を設定してもらうのは不便なので,製材代金1000万円の枠内で抵当権を設定し,売掛金が1000万円に達するまでは,この抵当権で担保する(根抵当)。
 
3 債権(399条~724条)(15分)
債権(ある人がある人に対して、一定の行為(給付)を請求することを内容とする権利)について定めている。

 

債権総則
ア 債務不履行,期限,法定利率
債務不履行の話
 …債務の本旨に従った履行がされない場合には,債務不履行となる。
 ex;AはBから,B所有の自動車を100万円で買い,お金も払ったのに,Bは自動車をAに引き渡さない。AはBに対し,債務不履行責任を追及し,損害賠償請求ができる。

 

イ 連帯債務
数人の債務者が,同一内容の給付について,各自が独立に全部の給付をなすべき債務を負担し,そのうちの1人の給付があれば,他の債務者の債務も消滅する債務のこと
ex;Aは,B,C,Dの3人を連帯債務者として,金300万円を貸し付けた。
→ Aは,B,C,Dのいずれか1人を選んで300万円全額を請求できる。

 

ウ 保証債務
主債務者が債務を履行しない場合に,その債務を主債務者に代わって履行する債務を保証債務という。
ex;AはBに100万円を貸し付けたが,CはBの保証人となった。
→ ①Bが100万円を返さない場合,Cが返済義務がある。
   ②Cは,Bが返せない場合に限り返す,という主張をすることができる(催告の抗弁,検索の抗弁)。
cf;連帯保証
→ 上記②の主張ができない。

 

エ 債権譲渡
「債権譲渡」
→ AがBに対して100万円を貸し付けた。Aは,Bに対し100万円を返せという請求権を有するが,この債権をCに譲ること。
→ この場合の手続きについて定めている。

 

債権各論
ア 契約総論
「契約」とは
「申込み」と「承諾」の合致により,権利や義務が生じるもの。

 

契約の解除
ex;AはBから,B所有の自動車を100万円で買い,お金も払ったのに,Bは自動車をAに引き渡さない。AはBに対し,契約を解除して,払ったお金を返してもらいたい。
AはBに対し,(相当な期間を定めて)自動車を引き渡すように催告し,それでも履行しないときは,契約を解除できる。

 

イ 契約各論
各種契約の紹介
贈与契約
当事者の一方が無償で自己の財産を与える旨の契約
 cf;履行前は,書面によらない贈与は撤回できる。
 ex;AはBに,自己所有の自動車を「あげる」と口頭で述べたが,まだBに渡していない。Aは気が変わったので,贈与を撤回することにした。

 

売買契約

 

交換契約

 

消費貸借契約
金銭その他の代替物を借りて,後にこれと同種・同等・同量の物を返還する契約
→ お金の貸し借りが典型的。

 

使用貸借契約
貸主が借主に,無償で貸すことにして目的物を引渡し,借主が使用・収益した後に返還することを内容とする契約

 

賃貸借契約
賃貸人がある物を賃借人に使用収益させ,これに対して賃借人が賃料を支払う契約
・賃貸人は,「貸す義務」がある。
;賃貸人は,貸した家の使用のために必要な修繕義務を負っている。
・賃貸人に無断で,賃借する権利を第三者に譲ったり,無断で転貸させることはできない。
・敷金は,明け渡して初めて,返還請求することができるというのが判例。
;なお,敷引特約は直ちに無効とはならないとするのが判例。
・借家の賃貸借契約は,相当の場合でなければ,更新拒絶ができない。貸す場合は要注意。なお,定期借家契約の制度があるが,要件は極めて厳格である。

 

雇用契約
労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを内容とする労働者と使用者の間の契約(労働契約法6条)
→ 民法というより労基法,労働契約法等による規律を受ける。

 

請負契約
当事者の一方がある仕事を完成することを約し,他方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを内容とする契約
ex;Aは,B工務店に対し,新築住宅の建築を依頼し,その仕事に対し,金3000万円を支払う旨を約束した。

 

委任契約
当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し,相手方がこれを受諾する契約
ex;弁護士への訴訟の委任

 

寄託契約
物の保管を委託する契約のこと。

 

組合契約
2人以上の当事者が共同の業務を達成する目的で,相互に金銭その他の財産の出資(又は労務の提供)を約束することによって成立する契約

 

終身定期金契約
ほとんど見ないので,割愛

 

和解契約
当事者が相互に譲歩し争いを自治的にやめることを約束する契約

 

イ 事務管理
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は,最も本人の利益に適合する方法で,その事務の管理をする義務が生じる。これを「事務管理」という。
→ 要するに,法律上の義務がないのに他人のために事務を処理すること。
ex;隣のA一家が旅行で外出中,強風によりA宅屋根瓦が飛ばされた。放置しておくと雨が降ったときに家が大変なことになるので,隣人Bが,業者に依頼し瓦を張った。
→ Bは報酬はもらえないが,有益な費用を支出したので,要した費用を支払ってもらえる。

 

ウ 不当利得
法律上の理由がない利益のこと
→ 法律上の原因があることを知らなかった場合は「現存利益」を返還する義務がある。
知っていた場合は,受けた利益に利息を加えて返還する義務があるし,損害賠償義務もある。

 

エ 不法行為
故意または過失により,他人の権利・利益を違法に侵害して損害を与えること。
→ 損害賠償責任が発生する。

 

使用者責任
ある事業のために他人を使用する者は,被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害を賠償する義務を負う。
ex;会社の従業員が営業中に交通事故を起こして損害を与えた。

 

損害賠償請求の時効
・被害者又はその法定代理人が,損害及び加害者を知った時から3年
・不法行為がなされたときから20年
→ 時効により消滅する。
 

第4 家族法関連(40分)

1 親族(20分)
総則
親族の範囲,親等の数え方,親族関係及び姻族関係の発生・終了について規定

 

婚姻
ア 婚姻の要件
婚約や内縁…民法上の規定はない。
婚姻適齢,重婚禁止,再婚禁止期間,近親者等の婚姻禁止

 

未成年者の婚姻は父母の同意必要
成年被後見人も,(意思能力がある限り)後見人の同意なく婚姻ができる(738条)。
∵婚姻等の身分行為は,なるべく本人の意思が尊重されるべきであるため。

 

イ 婚姻の無効及び取消し
婚姻の無効
婚姻意思の不存在,届出の不存在

 

婚姻の取消し
不適法婚の場合(731条から736条)

 

ウ 婚姻の効力
夫婦同姓,死別の際に復氏が可能
同居協力義務
成年擬制
契約取消権
婚姻解消後6か月間は時効が完成しない

 

エ 夫婦財産制
夫婦財産契約
→ 取り決めなければ法定財産制
[法定財産制の内容〕
・婚姻費用分担
・日常家事債務についての連帯責任
・夫婦の財産的独立(固有財産)

 

オ 離婚
協議離婚
 ・成年被後見人の離婚は,後見人の同意は不要
 ・監護に関する事項(親権,養育費,面接交渉等)の協議及び審判
 ・自動的に復氏,届出により姓の継続使用可能
 ・財産分与

 

裁判離婚
 ・離婚原因(不貞行為,悪意で遺棄,生死3年以上不明,強度の精神病,その他婚姻を継続しがたい事由)
 ・調停前置

 

親子
ア 実子
嫡出推定(772)
→ 事実に反するときは,嫡出否認(774~778)
出生を知ってから1年以内。
※成年被後見人の夫である場合の出訴期間

 

認知
・未成年者・成年被後見人であっても,法定代理人の同意は不要
・成年の子の認知
・胎児の認知(母の承諾必要)
・死亡した子の認知(その直系卑属がある場合に限る。)も可
・取消し不可
・認知の訴え
・認知準正
・子の氏(嫡出子;父母の氏,非嫡出子;母の氏)
・子の氏の変更

 

イ 養子
普通養子縁組の要件(792~801)
・養親の年齢制限
・尊属・年長者を養子とすることの禁止
・後見人が被後見人を養子にするとき
・配偶者のある者が養子を迎えるとき
・配偶者のある者が養子になるとき
・15歳未満の者を養子とする縁組
・未成年者を養子とする縁組
など

 

普通養子縁組の効果
・養親の嫡出子としての身分
・養親の血族との親族関係の発生,扶養義務
・相続関係の発生(元の親族との相続関係には影響しない)

 

離縁
・15歳未満の者が離縁する場合,法定代理人となるべき者が代わりに養親と協議する
→ 法定代理人となるべき者がいない場合
;養子の親族その他の利害関係人の請求により,未成年後見人を付する。
 特別養子縁組
・趣旨;6歳未満の子について,実親の監護が著しく困難,不適当などの特別の事情がある場合に,家裁の審判により実親の親族との親族関係を終了させ,養親子関係を創設するもの。
・要件
 ;養親は,原則として25歳以上の配偶者のある者でなければならない。
 ;養子は,原則として6歳未満の者
 ;原則として実親子(普通養子の養親も含む)の同意必要(虐待などの場合は不要)
・効果
 ;実親子関係の終了
 ;離縁は原則としてできなくなる。

 

親権
ア 親権者
父母,養子の場合は養親

 

イ 親権を行う能力
親権は身分上,財産上の幅広い権限であり,行為能力者でなければ親権者になれない。
→ 未成年者,被後見人の親権能力は否定される。
   被保佐人についても否定されると考えられる(反対説あり。)。
   被補助人については,肯定するという学説もある。
→ 未成年者が親の場合
 ;未成年者の親権者又は未成年後見人が親権者となる。
成年被後見人が親の場合
 ;子に未成年後見人が選任される。

 

ウ 親権の効力
監護・教育の権利義務
→ 「子の利益のために」

 

居所指定権

 

懲戒権
→ 従前の懲戒場の規定は削除された。

 

職業の許可・財産の管理及び代表

 

利益相反行為
・親権者と子に利益相反があるとき,及び親権者が親権を行使する複数の子の間に利益相反があるとき
→ 特別代理人の選任を家裁に請求する。

 

・「利益相反行為」
→ 行為の外形から判断し,親権者の意図,その行為の実質的効果から判断しない。
例①;親権者の債務の担保のため,未成年者の所有する不動産に抵当権を設定する行為
→ 利益相反行為にあたる。
例②;父死亡,親権者の母が子の相続分を放棄
→ 親権者が既に相続放棄をしている場合には,利益相反行為にあたらない。
例③;親権者が子の名義で第三者から金銭の借入をし,子所有の土地に第三者のための抵当権を設定した。
→ 外形上は利益が相反していないので,利益相反行為にあたらない。
→ 親権者が,もっぱら自分の利益を図ることのみを目的として抵当権を設定したような事情があれば,権限の濫用として,本人に効力が及ばないとする余地がある。

 

エ 親権停止制度(834の2)※新設の制度
〔趣旨〕
・従来の「親権喪失制度」の問題点
①要件が厳格
→ 軽微な事案の親権の制限ができない。
②親権喪失制度は期間を定めない。
→ 一定期間だけ親権を制限すれば足りる事案でも過剰な制限をしてしまう。
 ↓

 

・申立人の拡充
  ;親族や検察官らのほか、子ども本人や未成年後見人も家庭裁判所に親権の停止を申し立てることができるとした。児童福祉法33の7も改正され,児童相談所長も申し立てることができる。

 

・親権停止期間の制限
 ;親権を行うことができない期間を2年以内とした。

 

・要件の緩和
 ;「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」とされた
  (参照)
  親権喪失の場合の要件は,「親権の行使が著しく困難又は不適当」とされ,「著しく」がついている。

 

・後見人の複数選任
→ 1人については財産管理のみとするなど,職務分掌が可能

 

後見(後日の講義で触れるものと思われる。)
ア 後見人の選任,辞任,欠格事由
家庭裁判所から解任されたことのある人は,後見人になれない,等。

 

イ 後見監督人
後見人の配偶者,直系血族,兄弟姉妹は監督人になれない。

 

ウ 後見の事務
財産管理,身上監護

 

エ 後見の終了
管理の計算等
保佐及び補助
利益相反行為についての臨時保佐人,臨時補助人の請求
→ 監督人がいる場合は不要。

 

扶養
 ・直系血族及び兄弟姉妹の扶養義務
→ 生活保護申請の際に,扶養できないか調査されることも。
 ・3親等内の親族
→ 家裁が扶養義務を負わせることができる。

 

2 相続(20分)
総則
相続は,死亡により開始する。

 

相続人
ア 血族相続人
①子,胎児
②直系尊属
③兄弟姉妹

 

イ 配偶者(内妻は除く)

 

ウ 配偶者は常に相続人になる。
血族相続人のうち最先順位の者も相続人となる。

 

エ 代襲相続
 ・既に死亡・欠格・廃除の場合に,
 ・被相続人の子及び兄弟姉妹について認められる。
 ・再代襲相続は子のみ。

 

オ 欠格事由
 ・殺人(未遂)で刑に処せられた,
 ・被相続人が殺害されたのを知って告訴・告発をしない,
 ・詐欺強迫により遺言を妨害等した,遺言をさせた等
 ・遺言書を偽造,変造等した

 

カ 推定相続人の廃除
 ・被相続人に対する虐待,重大な侮辱,その他著しい非行
 ・家庭裁判所に廃除を請求

 

キ 遺言による推定相続人の廃除
 ・遺言に推定相続人廃除の意思を記載
→ 遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をしなければならない。

 

相続の効力
ア 総則
原則;一切の権利義務を承継
例外;一身専属権は相続されない(扶養請求権)

 

祭祀に関する権利の承継
→ 被相続人の指定や慣習に従う。

 

相続分に応じた権利義務の承継
イ 相続分

 

法定相続分
・配偶者と子
→ 配偶者2分の1,子(全員で)2分の1
・配偶者と直系尊属
→ 配偶者3分の2,直系尊属3分の1
・配偶者と兄弟姉妹
→ 配偶者4分の3,兄弟姉妹4分の1
 ・子複数;非嫡出子は嫡出子の2分の1
※これを違憲とする高等裁判所の裁判例もある。
 ・兄弟姉妹複数;半血兄弟は全血兄弟の2分の1

 

特別受益者・寄与分
特別受益者;特別の受益を受けた者について相続分を一部控除する
寄与分;遺産の増加に特別の寄与した者について相続分を一部上乗せする

 

簡単な具体例
遺産1億円
被相続人(父)死亡,妻と子2人がいたが,子のうち1人は相続開始時に既に死亡しており,孫が2人いた。妻,子と孫の取り分はいくらずつになるか。

 

ウ 遺産の分割
相続人全員のほか,相続分譲受人等も含めて行う(相続放棄者等は含まない。)。
→ 相続人の一部除外したり,相続人でない人を加えた分割は無効。

 

協議が調わない等の場合は,家裁に遺産分割の請求ができる。

 

相続の承認及び放棄
ア 熟慮期間
「相続開始があったことを知った時から」3か月
→ 家庭裁判所への申立てにより伸長してもらえる場合あり

 

成年被後見人が相続人の場合,本人ではなく後見人が「相続開始があったことを知った時から」3か月
→ 被保佐人の場合はこのような例外はない。
(保佐人の同意を得てする。)

 

放棄・承認は撤回できない。
→ 制限行為能力により取り消すことはできる。
→ 後見人が後見監督人の同意なく承認・放棄したときも取り消すことができる。

 

ウ 承認
法定単純承認(遺産の全部又は一部を処分した,等)

 

エ 限定承認
相続により得た財産の限度で承認すること
→ 手続が複雑+税法上のデメリット有り。

 

オ 放棄
家庭裁判所に放棄する旨の申述をする必要がある。

 

財産分離
割愛

 

相続人の不存在
相続人がいないとき
→ 利害関係人又は検察官の請求により,相続財産管理人が選任され,相続財産が処理される。

 

遺言
ア 普通の方式と特別の方式とがあるが,本講義では普通の方式のみ紹介する。
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言

 

イ 成年被後見人の遺言(973条)
事理弁識能力を一時回復した際に,
医師2名以上の立会いで,
当該意思が遺言の際に事理弁識能力を欠く状態になかったことを遺言書に付記して署名押印する。

 

ウ 共同遺言の禁止

 

エ 遺言書(自筆・秘密)の検認

 

オ 遺言の撤回について
・撤回自由
・新しい遺言による撤回

 

遺留分
ア 兄妹姉妹以外の相続人は,必ず受け取ることができる相続財産がある。
→ 直系尊属のみが相続人の場合;遺産の3分の1
それ以外の場合      ;遺産の2分の1

 

イ 遺留分を侵害されている場合,「遺留分減殺請求」により権利を行使する。
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以上
 

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