成年後見人の倫理とリスク管理

長崎県弁護士会 高齢者等権利擁護委員会委員
弁 護 士  山 下 雄 一

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第1 本講義の意図・目的

専門職後見人の不足
→ 親族等による後見についての研修等の必要性
→ その前提としての社協職員さん等の研鑽等の必要性

 

第2 成年後見人の倫理(10分 10:15~10:25)

1 成年後見人の権限と義務
成年後見開始の要件(民法第7条)
ア 「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く者」(民法第7条)について,
イ 本人,配偶者,4親等内の親族等の請求により,
ウ 裁判所が後見開始の審判をする。

 

成年後見の効果(民法第9条)
成年被後見人の法律行為は,日常生活に関する行為を除き,取消が可能

 

後見の事務
ア 財産調査(民法853条)
イ 本人の意思尊重義務,身上の配慮(同858条)
ウ 財産管理及び成年被後見人の代表(同859条)
エ 居住用不動産処分の場合の裁判所の許可(同859条の3)
オ 支出金額の予定策定(同861条)
カ 善管注意義務(同869条,同644条)
など

 

2 成年後見の申立て
親族等からの申立の動機
・「本人の預貯金が下ろせない」
・「本人の財産を処分できない」
・「遺産分割協議をしたい」
十分に成年後見制度を理解しているか?
成年後見人になることの意味
・他人の財産を管理するということ
・そのための大きな権限,義務を負うこと
 

 

3 事例検討
事例1(5分 10:25~10:30)
【問題点】
ア 母親所有でも,他人の財産
イ 本人の意思尊重義務
→ Aが売りたいだけ?
ウ 居住用不動産
エ 代金の管理,費消の制限
 
事例2(5分 10:30~10:35)
【問題点】
ア 子どもの預金も,親であっても他人の財産
イ 障がい基礎年金は障がい者本人の生活のために支給されるもの
ウ 使い込みの法的責任
 ・解任
  ・返還請求
  ・場合によっては,業務上横領罪
 
【関連事項】
ア 子供の施設に行くための自動車を,子供のお金で購入すること
イ 子供が施設から帰って来るときに備えて,大型テレビを子供のお金で購入すること
ウ 子供を温泉旅行に連れて行こうと,家族全員分の旅費を子供のお金で支出すること
エ 子供が帰って来るときに備えて,自宅をバリアフリーにすること
 
事例3(10:35~10:40)
【問題点】
ア 本人の財産は,本人のために必要なものであれば,支出ができる
イ 夫婦の同居協力義務(民法第752条)
→ 住居の提供,税金や水道光熱費等の引落しは許されるか。
→ そのほかは?
ウ 家庭裁判所との打ち合わせ
 
事例4(10:40~10:45)
【問題点】
ア コンサートへ連れて行くことが後見人の職務か。
イ 施設職員が担当してくれるのか。
ウ 同行費用を本人の財産から支弁できるか。
エ 後見人が被後見人からご祝儀を受領することの可否。
オ 三回忌法要の費用を本人の財産から支弁することの可否。
 

第3 社会福祉士賠償責任保険制度(10:45~10:50)

社会福祉士限定のものであるが,社会福祉士の業務に関し発生した法律上の損害賠償責任を負担した場合等に,保険金が支払われる保険が存在する。

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以上
 

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