解雇

1 はじめに

「解雇をした従業員から突然訴えられてしまった」
「能力不足の社員を辞めさせたいが、どのようにして辞めさせればいいかがわからない」
「労働基準署から突然連絡が入り、警告を受けてしまった」
 
解雇とは使用者による労働者の契約解消のことですが、現在の日本の労働法制では、労働者を解雇するのは難しいといえます。仕事ができない社員や勤務態度が悪い社員であっても、簡単に解雇をすることはできません。安易に解雇をしてしまうと、従業員から訴えられ、損害賠償請求をされてしまったり、会社の内部情報を労働基準署に言われてしまい、ケースによっては、企業活動が一定期間停止させられるということも考えられます。
 

2 解雇権濫用法理

労働契約法第16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。
これは、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」とした日本食塩製造事件(最高裁第二小法廷昭和50年4月25日判決民集20巻4号456頁)を明文化したものです。
 
解雇が認められる「客観的で合理的な理由」とは、
① 労働者の労務提供の不能や労働能力又は適格性の欠如・喪失
  傷病やその治療後の障害のための労働能力の喪失、勤務成績の著しい不良、事故後欠勤30日に
  及んだとき、重要な経歴の詐称などです。
② 労働者の規律違反の行為
③ 経営上の必要性に基づく理由
 合理化による職種の消滅と他職種への配転不能、経営不振による人員整理(整理解雇)、
  会社解散などです。
④ ユニオン・ショップ協定に基づく組合の解雇要求
などがあげられています(菅野和夫「労働法」(第10版)537頁等参照)。
 
ラジオ放送を営むY社が、2週間に2回にわたり、寝過ごしのため、担当していたラジオ番組の放送事故を発生せしめたアナウンサーXを解雇したケースについて、最高裁は「Xの労働契約違反は普通解雇事由に当たるが、諸々の事情を考慮すると、Xに対し、解雇をもって臨むことはいささか過酷に過ぎることから、本件解雇は合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない」と判断しました(高知放送事件、最高裁第二小法廷昭和52年1月31日判決・労判268号17頁)。

 

労働者の労働契約違反が解雇事由に該当する解雇でも、解雇の理由、解雇の理由を生じせしめることとなった経緯、労働者の職場地位(職務上の責任)などを総合的に検討し、客観的合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合にあたるかどうかを判断しているといえます。
 

3 会社側の対応としては

まずは、指導・教育の実施や見直しを行い、企業として、努力をしたこと証明する必要があります。
また、その際には、指導、教育の証拠を書面として残してください。
そして、指導、教育の結果、どのように能力のない従業員が変わったのか、これも書面として記録を残してください。
次に、配転を行います。こちらも、環境を変える努力をしたという証拠を書面として残してください。

最後に、退職勧奨を行い、降格、降給を実施しましょう。それらを実施し、本人が納得した場合には、合意書を必ず作成しておき、かつ面談を行う場合には、変な言いがかりをつけられないように、複数で面談を行いましょう。

 
弁護士に依頼をすることで、解雇事由に客観性が認められるか、手続きに正当性はあるかについてアドバイスをすることができます。また、解雇をした従業員から後々訴えられないために、労働環境を整えておくことができます。万が一訴えられてしまった場合にも、法律の専門的な知識から然るべき対応が可能です。
 
トラブルを避けるには、まずは弁護士にご相談されることをお勧めいたします。弁護士法人ユスティティア森本綜合法律事務所までお気軽にご相談ください。
 

 

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