事故発生から解決までの流れ

1 事故発生

業務中に事故に遭われたり(業務災害),通勤途中に事故に遭って怪我をしたり(通勤災害)した場合には,後でどのような事故であったかの証明をする必要が出てくる場合があります。

 

そこで可能な限り,どのような事故であったのかはメモをしたり,目撃者がいれば,その話をメモして目撃者の方にサインをもらっておくといった対応が望ましいです。

 

もちろん,怪我の治療を最優先にするべきことは言うまでもありません。
通勤途中に交通事故に遭った場合などは,警察や保険会社へも忘れずに連絡して下さい。
 

 

 労災で支給される給付の種類

労災保険から支給される給付金は,次の7種類があります。
① 療養(補償)給付の請求手続
→ 治療費,薬剤費等の給付です。

 

② 休業(補償)給付の請求手続
→ いわゆる休業損害として,労基法上の平均賃金の60%が,休業の4日目から支給されます。

 

③ 障害(補償)給付の請求手続
→ 後遺障害が残った場合に,障害の程度に応じて支給されます。

 

④ 遺族(補償)給付の請求手続
→ 業務上の事故で労働者が死亡した場合に,支給される給付金です。

 

⑤ 葬祭料(葬祭給付)の手続
→ 業務上の事故で労働者が死亡した場合に,その葬祭を行う遺族に対して支給されるものです。

 

⑥ 傷病(補償)年金の手続
→ 負傷又は疾病を負った労働者が治療を始めてから1年6か月が経っても、その負傷又は疾病が治らず、かつ,その負傷又は疾病による障害の程度が労災保険法の傷病等級に該当し、その状態が継続している場合に、障害の程度に応じて支給されるものです。

 

⑦ 介護(補償)給付の請求手続
→ ③又は⑥の給付において第1級と認定された方すべてと,2級と認定された方のうち精神神経・胸腹部臓器の障害を有している方が現に介護を受けている場合には、介護(補償)給付が支給されます。
 

 

3 労災保険への請求

(注)下記は分かりやすく記載したものであり,各給付を受けるためにはそれぞれ所定の条件がありますのでご注意下さい。
労災に遭い,治療をされることになると思われます。

次の通り,療養(補償)給付を請求します。
ア 治療をされた病院が労災指定病院であれば,その病院を通して労基署に治療費の請求をします。業務災害と通勤災害の場合では請求書の書式が異なります。

 

イ 治療をされた病院が労災指定病院でない場合には,治療費をいったんは自己負担した上で,請求書を労基署に提出して労災保険から還付を受けることになります。

 

労災により,仕事を休まないと行けない場合もあろうかと思います。
その場合には,休業(補償)給付を請求することになります。
治療をされても完全に治らず,後遺障害が残る場合があります。

お医者さんに後遺障害が残ったことについての診断書を書いてもらって,必要に応じてレントゲン等の医療画像を添付して,請求書を労基署に提出し,障害(補償)給付を請求します。

 

業務中の事故により,労働者が死亡された場合
死亡診断書や戸籍謄本等の必要書類を添えて請求を行い,遺族(補償)給付の請求を行います。ご遺族が葬儀を執り行う場合には,葬祭料(葬祭給付)を請求します。

 

業務上の事故により負傷し,長い間治療をしているがなかなか治らず,1年6か月が過ぎ,一定の重度障害状態にある場合には,傷病(補償)年金を請求します。
施設に入らずに介護を受けている場合には,介護(補償)給付を請求します。
 

 

4 事業主の証明

上記2項の①から⑤の給付を請求するためには,請求書に事業主の証明をもらう必要があります。
これにつき,事業主は,速やかに証明をしなければならないとされており(労働者災害補償保険法施行規則23条2項),事業主が拒否する等の理由で証明してもらえないときは,空欄のままで請求することも可能です。
 

 

5 労基署による認定手続

業務災害について
請求を受け付けた労基署では,当該事故が「業務上」生じた事故であると言えるのかどうか,業務上の事故であるとして,怪我や障害が事故と相当因果関係があるといえるのかどうかという観点から,労災と認定できるかどうか判断します。

 

通勤災害について
請求を受け付けた労基署では,当該事故が,「通勤」の途上で起きたものといえるのかどうか,怪我や障害が事故と相当因果関係があるといえるのかどうかという観点から,労災と認定できるかどうか判断します。
 

 

6 労基署の認定に対する不服申し立て

基署の労災に関する認定について納得ができないときは,決定がされた日から60日以内に,その労基署を監督する労働者災害補償保険審査官に対し,
「審査請求」の申立てを行うことができます。

 

次に,審査請求の結果に対して,なお納得ができないときは,審査請求の決定書が送付された日の翌日から60日以内に,労働保険審査会に対して,
「再審査請求」の申立てを行うことができます。

 

再審査請求に対してなお納得できないときに,裁判を起こして,決定の取消しを求める訴訟を起こすことになります。
審査請求や再審査請求を経ずに,いきなり労災認定に関する裁判を起こすことはできません。
 

7 認定が出た後の流れ

労災保険においては,慰謝料は支払われません。

また,休業補償や障害補償も,定額の給付になりますので,実際にはそれ以上の損害が発生している場合には,超過分を事業主に対して請求する必要が出てきます。
そこで,事業主との賠償についての交渉や,交渉決裂の場合には訴訟を起こして賠償を求めるという手続きに進むことになります。
 

 

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